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第十六話 【癒えない傷】
カテゴリ: 【トイレが友達】 / テーマ: 自作連載小説 / ジャンル: 小説・文学
ある日の朝、顔を伏せ、たどたどしい足取りながらも、必死に学校へ向かうあかりの姿があった。
あれから結局、数日間は学校を欠席してしまった。
あかりは、今まで病気が長引くといったこともなかったため、母は不審に思っているようだったが、あかりが辛そうに寝込んでいる姿に、あまり深く追求はしてこなかった。

あかりの頭の中では、様々な思いがぐるぐると回っていた。
日々の凄惨ないじめ。山田によるレイプ未遂。そして、あまりにも意外な、山田をけしかけたかと思われる人物・・・。
あかりは、もはや、自分ではどうすれば良いのか、全く分からなかった。
死にたい。ただただそれだけを思って、ベットの中に引きこもって過ごした。
だが、それでも、あかりはまだ、強い自分を完全に失ってはいなかった。
一度、学校に行って、高橋と接して、様子を見てみよう。数日間で、あかりはそこまで精神状態を回復させることが出来たかのように見えた。
それは大間違いだったと気がついたのは、すぐのことだったのだが。

いつものように、何か言われたり、されたりしないか、おびえながら学校へ向かう。
生徒たちは、相変わらず、あかりのことを見つけると、それぞれの形でいじめを行ってきた。
あかりは、生徒たちのその態度を見て、もはや抵抗する勇気は起きず、一つ一つのことにダメージを受けてしまった。
それでも、休む前に比べて、いじめの内容は、それほど悪化はしていなかった。ということは、山田が先日の画像を送りつけたりはしていないということなので、それに関しては、ほっとした。
しかし、問題は山田本人である。あかりのことを見たら、一体何を言ってくるか分かったものではない。
ましてや、教室に、例の画像が貼りつけられてしまっていたら・・・。

おそるおそる教室に入ると、今最も顔を合わせたくない人物、山田が、相変わらず気持ち悪い、ニタニタとした表情を浮かべて、うろうろとしていた。
あかりは、山田の姿を見るだけで、ここから逃げ出してしまいたい気持ちにとらわれた。
一通目のメールのあとも『学校、早くこいや』『また、いじめてやるからな』などと、山田からのメールは続いていた。
そのために、すぐにまたアドレスを変えたのだが、山田に対する恐怖心は深まる一方だった。

「ヤリマン~、なんで学校来なかったのぉ~?サボり?それとも、アノ日だったとか?」あかりに気がつくと、すぐに山田が近づいてきて、あかりをはやし立てる。
あかりは、吐き気がこみ上げてきた。山田にされた行為が、改めて脳裏に浮かぶ。
「この間の画像、待ち受けにした?」あかりをいやらしい眼で見ながら、こっそりと山田が言った。
あかりは、山田に殺意を覚えた。そうだ、こんな奴のために自分が死んでしまうぐらいなら、いっそのこと、こいつのことを殺してしまおうか。

あかりは、何かにとりつかれたかのように、自分のロッカーの中の彫刻刃を取り出した。
再度、山田の方へと近づくと、あかりは、それを振りかざし、能面のような表情で、山田を切りつけようとした。

「あかり、やめろ!!」その大声で、あかりは我に返った。
気がつくと、クラス中の生徒が、何事かとあかりのことを見ていた。
山田は、これ幸いにと、うわわっ、という情けない声を出しながら、教室の外へと逃げ出した。
「何やってんだよ、ったく」そう言いながら、放心状態のあかりから、大声を出した人物が、彫刻刃を奪い取る。それは、楓だった。
「楓ちゃん・・・?」あかりがぼんやりと言うと「別に、てめぇのこと許したわけじゃねぇから」そう言って、勝手に照れながら自分の席に戻る。

「何があった!!」今度は、鈴木が怒鳴りながら勢い良く教室に入ってきた。誰かが、鈴木のことを呼んだらしい。
その問いかけに、誰も答えることがなかった。当然だが、あかりも何も言わなかった。
「おい、誰か答えろ!!」鈴木が更に生徒たちのことを怒鳴りつけるが、お互いに顔を見合わせるだけで、一向に誰も口を割ろうとはしない。
「大川が、突然暴れ出したということで良いんだな?」そう言って、鈴木は、近くにいた生徒のことを、威圧的に睨む。
それに押されたのか、こくり、とその生徒は頷いた。
鈴木は、真っ青になると「大川、放課後、事情を説明しろ」それだけ言って、また大慌てで教室を後にした。

その日、あかりはほとんどの時間を汚い方のトイレの中で過ごした。
休み時間はもちろんのこと、授業の時間でさえも、である。それを、誰も呼びに来ることはなかった。
楓が止めてくれたから良かったものの、あのままだったら、あかりは、山田のことを本当に殺してしまっていただろう。
それだけ、自分が心に傷をおってしまっているということに、あかりは深い悲しみを覚えた。
ましてや、他人のことを本気で殺そうとするなんて・・・自分の中にあった残虐性も、あかりには許すことが出来なかった。
あかりは、服が汚れてしまうのも構わず、個室の中に座りこんで、ずっとずっと泣いていた。

それでも、いつかは学校から帰らないといけない。
あかりは、重すぎる腰を無理矢理上げると、教室へと向かった。
もう既に放課後になっているようで、教室内には、誰もいなかった。
そのことにほっとしながら、あかりは帰り支度を始める。

そこへ、鈴木がやってきた。「今日一日、一体何をやっていたんだ」あからさまに不機嫌そうに、あかりに聞く。
「・・・」あかりは、鈴木のことを無視した。もはや、鈴木とは何も話したくなかった。
「お前、俺のことをおちょくってるのか!!」そう言って切れ出すと、鈴木は、強引にあかりの腕を引っ張った。
鈴木のその行動に、あかりは、嫌でも山田から受けたレイプ未遂のことを思い出さされた。

「いやあああああああああああ」パニックになったあかりは、無理矢理鈴木の手を引き剥がすと、教室の窓に突進し、飛び降りようとした。
「おい、何やってるんだ!!」鈴木が慌てて近づいてくるが、そのことに、あかりは余計に恐怖心をあおられた。
近くにあった椅子を鈴木に向かって投げ飛ばし、窓枠に手をかける。

そのまま、あかりの体は、宙に舞った。
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編集 / 2012.06.09 / コメント: - / トラックバック: - / PageTop↑
お知らせ
無事に退院することが出来ました。ありがとうございます^^
新しいブログもよろしくお願い致します。
6月27日
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