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第二話 【リスキモと呼ばれる少女】
カテゴリ: 【トイレが友達】 / テーマ: 自作連載小説 / ジャンル: 小説・文学
家に帰ってからも、あかりはミサの言った言葉が頭から離れなかった。
KYだったらやっていけない。それは、確かに学校という集団生活の中での暗黙の了解だろう。
それでも、そのことをわざわざ伝えてきたときのミサの冷たい瞳に、不気味な不安を感じていた。
夕飯を食べて、そんなことを考えていたら、メールの着うたが鳴り響いた。
あかりは、大好きな中島みゆきの”ファイト!”という歌を着うたにしている。
少し古い趣味かもしれないが、嫌なことがあると、あかりはこの歌を聴いて、昔からしょっちゅう励まされたものだ。

『あかりん、早速メールしてみたよん改めて、これからヨロシクね ミサ
ミサからのメールだった。すぐに返信をする。
『あかりです今日はありがとうこちらこそ、これからよろしくお願いします
気さくなメールの内容に、やっぱりミサは良い子なんだなとあかりは思った。
例の発言も、あかりのことを思って言ってくれたに違いないと、気持ちを切り替えることが出来た。
それから何通かやりとりをして、疲れもあって、その日あかりは、いつもより早く眠りについた。

次の日学校に行くと、早速ミサに話しかけられた。
「あかりんおはようー☆今日も一日、テキト~に頑張ろうね」
そう言ったミサの横に、おっとりした、天然そうな女子がいた。あかりのことを見て、にこにことしている。
昨日も話しかけてきてくれた気がしたが、あかりはその女子の名前を、すぐには思い出すことが出来なかった。
「あかりちゃん、玲奈だよ。あかりちゃん、玲奈のこと忘れてる~」
玲奈はぷっくりと頬を膨らませた。それを見て、あかりは玲奈のことを思い出し「ごめんごめん!玲奈ちゃん、おはよう」と言った。
「大丈夫だよ」と言ってから、玲奈は後ろの方を見て「ほらぁ、楓ちゃんもあかりちゃんに挨拶しなきゃ」と手招きした。
すると、少し不良っぽい女子が来て「あかり、おはよう」とぶっきらぼうに言った。

「これで全員揃ったね!うちらニコイチじゃなくてサンコイチだから、ヨロシク♪」と、ミサが機嫌良さそうに言う。
ニコイチってなんだっけ、とあかりは疑問に思ったが、それを口にする前に、楓が「今日さっきあそこでリスキモの奴に朝から会っちまったよ。マジキモい~」と笑いながら言った。
「楓ちゃんかわいそう。リスカ菌が移っちゃうねぇ」と、玲奈がおっとりとした口調で返す。
今度は、リスキモって誰、という疑問をあかりは持ったが、それを口にする前に、ミサに「高橋っていう、超キモい女子がうちのクラスにいるんだよね。そいつ、リスカしてるの。だから、リスキモってうちらは呼んでるんだ」と言われた。
「リスみたいで可愛いあだ名だけど、実際は暗くてブスで、超キモいんだぁ」と玲奈が言った。

そんなことを楽しそうに話すミサたちに、あかりは背中に冷たいものを感じたが、そういった存在は前の学校にもいたなと、無理矢理自分を納得させた。
そうこうしているうちに、キーンコーンカーンコーンという定番の音が鳴り、鈴木が昨日のようにガラッと無骨に教室のドアを開け「静かにしろ!席に着け!」と言いながら入ってきた。
またね、と言って、あかりたちはそれぞれ自分たちの席に着いた。それからは、退屈なホームルームの始まりだった。

三時間目は、あかりの嫌いな数学の授業だった。年配の女教師と、頼りなさそうな若い補助の女教師が授業を行っているのだが、その組み合わせ自体が舐められやすいのか、始終生徒たちは喋りっ放しだった。
あかりも、隣の席のミサとくだらない話をずっとしていた。
「そ、それでは、いつも通り、今日の回答者の人に問題を解いてもらいます。えーと、えーと、今日は・・・高橋さん、でしたっけ?」
補助の女教師の方が、挙動不審にそう言った。それを聞いたミサが「高橋ってのが、リスキモのことだよ。ほら、あれのこと」と、斜め前あたりの席を指差しながらあかりに耳打ちをした。
その少女は、言われてみると、確かに暗い雰囲気を漂わせていた。そして、中々席を立たなかった。
「高橋さん?どうしたんですか?高橋さん?」それを見て、補助の女教師の方が、ますます挙動不審になる。
仕方ない、といった感じで高橋は席を立った。髪は真っ黒なロングで、黒縁の眼鏡をかけている。両腕にリストバンドをしていたが、良く見ると、足の方に傷が見えていて、まさかあれもリストカットの跡なのかと、あかりはぞっとした。

何やらぶつぶつと言いながら、緩慢な動きで黒板の前に立ち、考える様子も見せずに、高橋は答えらしき数字を殴り書きして、今度は俊敏な動きで自分の席に戻った。
「高橋さん、もうちょっと良く考えて・・・」と、年配の女教師の方が呼び止めたが、高橋はそれを無視する。
それはいつものことなのか、年配の女教師の方もすぐに諦めて、授業を再開した。
「ねっ、超キモいでしょ」とミサに言われたあかりは、おもわず、うん、と答えていた。
高橋は、三人に聞いた印象の通り、いかにもいじめを受けていそうなタイプの生徒だったのだ。
顔は良く見えなかったが、きっとブスなんだろう、とまであかりは思ってしまった。

この日は放課後に、ニコイチだかサンコイチだかに「今日はうちら職員会議で皆部活ないから、一緒に帰ろう~」と言われて、玲奈いわく「うちら、ヨンコイチだねぇ」というらしい関係で四人で一緒に帰った。
三人の話はとても面白くて、あかりは、引っ越ししてから久しぶりに心から笑うことが出来た。
不安だらけだったけど、最初から素敵な友達が出来て本当に良かった、とあかりは思った。

その友達がまさか、いつの間にか、悪魔にしか見えなくなるとも知らずに。
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編集 / 2012.06.01 / コメント: - / トラックバック: - / PageTop↑
お知らせ
無事に退院することが出来ました。ありがとうございます^^
新しいブログもよろしくお願い致します。
6月27日
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